日本、韓国、中国など東アジアにおいて鉄文化の展開とともに広がったとされる炭焼長者譚（昔話、伝説、神話、語り物など）の背景を論じたもの。日韓中の炭焼長者譚の伝承状況とその特徴を紹介しつつ、炭焼、製鉄、王権、シャーマン、竈神、語り物文芸をキーワードに三国における炭焼長者譚を詳細に考察。巻末には、奥浄瑠璃「炭焼藤太様御本地」の翻刻をはじめ、沖縄、韓国、中国の伝承資料を翻訳紹介。

【目次】
鉄文化を拓く　炭焼長者　
序論　
鉄・王権・説話　―琉球国の誕生―（福田　晃）
炭焼長者への招待
日本の「炭焼長者」−昔話と伝説との間（福田　晃）
韓国の「炭焼長者」（金　賛會）
中国の「炭焼長者」（百田弥栄子）
日本の炭焼長者を考える
「炭焼」からみた「炭焼長者」（花部英雄）
『真名野長者物語』以前−京太郎譚の展開（福田　晃）
豊後の「炭焼長者」と草刈氏（菊田　徹）
真名野長者近世物語本の成立（芦刈政治）
韓国の炭焼長者
韓国の炭焼長者の類型と性格（玄丞桓）
韓国の炭焼長者
−シャーマンと鉄文化との関連から（金　賛會）
朝鮮の王権と南方系金属伝承（依田千百子）
中国の炭焼長者
中国少数民族の「炭焼長者」（百田弥栄子）
中国の炭焼長者伝承考
−日本の伝承に対応する話を
　　　　　「中国民間故事集成」に拾う−（馬場英子）
「炭焼長者」伝承
奥浄瑠璃『炭焼藤太様御本地』−東国かねあらい（阿部幹男）
『豊府紀聞』−満長者譚（芦刈政治）
沖縄の「炭焼長者」伝承資料（福田　晃）
韓国の「炭焼長者」伝承資料（金　賛會）
中国の「炭焼長者」伝承資料（百田弥栄子）