本書は、平安中期の歌人で、三十六歌仙のひとり増基法師の歌集『いほぬし』（増基法師集）の注解。『いほぬし』の歌は、能因の歌集『玄々集』にも撰入しているが、増基法師その人については、ほとんど明らかにされていない。本書は、『いほぬし』の注解を通して、その謎に満ちた平安歌人増基法師の人物解明をも試みている。また、単なる語釈、歌釈、注釈だけでなく口語訳も併記し和歌文学のビギナーにも配慮。

【目次】
一　作品注解／序文／�T熊野紀行日記／�U賀茂日記　付、恋歌／賀茂に住んで／賀茂社参籠／賀茂社参籠を終えた後／付、恋歌／�V遠江日記　付、跋／往路／遠江滞在／帰途／跋文に代えて／二　増基法師和歌補遺／研究／一　増基和歌の他集への撰入状態一覧／二　引歌・影響を受けた歌・類似歌等一覧／三　『いほぬし』の方法と構成／四　増基伝究明のための覚え書き／主君はだれか／安和の変の経過等／伊周・隆家左遷事件の経過等／〔参考年表〕（増基伝研究のために）／増基の俗名は藤原忠信か／「ただのぶ」の名を持つまぎらわしい人物／藤原忠信の経歴／〔増基（藤原忠信）略年表〕／【補注】／【主要研究文献等一覧】／【『いほぬし』及び増基和歌初句索引】／【地名・件名索引】